【つま先を前に向ける意識は逆効果かも…】トップ選手から学ぶ、"内転筋"を使った効率的走り方!
- Tweet Follow @Sports_Crowd_
投稿者:荒川優元100m選手:スプリントコーチ
【つま先を前に向ける意識は逆効果かも…】トップ選手から学ぶ、"内転筋"を使った効率的走り方!
クリストフ・ルメートル選手(フランス、25歳)を知っていますか。
2010年に白人で初めて、100m10秒の壁を突破したことで一躍有名となり、2011年のテグ世界陸上では200mで3位、4×100mリレーで2位となり二つのメダルを獲得しています。
(100m9秒92(+2.0) 元フランス記録、200m19秒80(+0.8) フランス記録)
日本人にとっては黒人の走りに比べ、真似しやすいモデルだと思っています。
私が初めてルメートル選手を見たのは、2008年の世界ジュニアでした。
そのときに彼は200mで金メダルを獲得したわけですが、「なんて馬力のある選手なんだ・・・」と感動したのを覚えています。
彼の走りは、肩が横に大きく振れ、体をしならせながら加速していき、暴走特急のような印象を受けます。
(参考動画:https://www.youtube.com/watch?v=e8DpYLbvW48)
今回の動画はルメートル選手のマーク走です。
ただスローで下半身をよく見てみると、上半身とは対照的にあまり横揺れが起こらず非常に整っていることが分かります。
【内転筋がうまく使えれば力のロスを防げる】
真似したいのは内転筋周辺の動きです。
(内転筋周辺の筋肉を今回だけまとめて内転筋とさせてください)
接地はまっすぐ入りますが、骨格上人間誰しも離地にかけてつま先が外に向こうとします。
ルメートル選手も例外ではありません。
ただ彼は、離地時につま先が前を向いたままです。
これは内転筋を利かせていることで可能となっていると考えます。
(私は内転筋のしぼりと呼んでいました。)
内転筋から股関節周辺の筋肉をうまく使うことで、つま先が外を向いてしまうことによる力のロスを防いでいるのです。
【つま先に意識を持っては逆効果!】
O脚などで日常的につま先が外を向いている、もしくは接地はいいものの離地時につま先が外を向いてしまう人は多いと思いますし、注意されることもあるかと思います。
その際、多くの人はつま先に意識を置いて前に向けようとすると思います。
残念ながら、これではスピードにはつながらず、場合によっては膝の側面を痛めてしまうこともあります。
大事なのは内転筋に力を入れることで〝勝手につま先が前を向く″ということです。
歩くときに内転筋に力をちょっと入れてみてください。
つま先が勝手に前を向いたのではないでしょうか。
まずは内転筋を意識しながらウォーキングしてみましょう。
慣れてきたら、走りでうまく〝内転筋のしぼり″が使えるように練習してみましょう。
(※走りで生かそうとした場合、内転筋だけでは不十分だといえます。スピードが上がれば上がるほど股関節との関係性の中でとらえる必要が出てきます。)
最後に、より速くなるためには前に進もうとする人が多いと思いますが、案外ロスを減らすだけで体は前に進むかもしれませんよ。
ぜひ意識してみてください!
この動画は「3CACONCEPT」様の作品です。
***********************************************
筆者:
荒川優(あらかわゆう)
☆スプリントコーチ(100m:10秒5)
➣2010ニュージーランド・オタゴオープン 準優勝
筑波大学出身。ランニングコネクション代表。スプリントコーチとして大学や子供たちの指導、メディアなどで活動。
オリンピック選手や格闘技世界チャンピオン、Jリーガーなど、種目を超えてトップ選手のコーチも担っている。
出演:NHK「テレビスポーツ教室」など多数。
***********************************************
投稿者:荒川優元100m選手:スプリントコーチ
- Tweet Follow @Sports_Crowd_
【新着】関連記事
この記事を見た人はこんな記事も見てます。
-
【最大スピードを高めるための練習】加速走の方法とポイント
走りの中でトップ(最大)スピードは非常に重要です。 研...
2017年07月19日
-
M・ファラーのトレーニング②
前回に引き続き、モハメッド・ファラーのトレーニングを見て...
2015年10月23日
-
専門外でもこの高記録!クリスチャン・テイラーの走り幅跳び
2014年のダイヤモンドリーグ・ニューヨーク大会において...
2016年02月05日
-
メディシンボールを持ってのハードルドリル
ハードルドリルをウォーミングアップで行う方は多いと思いま...
2015年09月22日
-
ボルトの人生を変えたレース!世界ジュニア200m決勝
人類最速の男、ウサイン・ボルト選手が自身で感じている人生...
2015年11月08日
-
東京高校 短距離陣の練習法
和歌山インターハイ 100mで去年に引き続きアベック優勝...
2015年08月05日
-
素早いハードリングを身につけよう!1歩ハードルトレーニング
陸上男子110mハードルにおいて日本選手権入賞、国体優勝...
2016年02月10日
Category New/カテゴリー新着情報
- 箱根駅伝の区間賞の10人中7人が履いていたシューズ!!今回も箱根駅伝大盛り上がりでしたね。 そんな選手達の頑張りを支える、あるアイテムがあったんです。 それは「NIKE Zoom Vaporfly 4% Flyknit」というランニングシューズです。...詳細
- 【歯のケアしてますか?】スポーツパフォーマンスと「虫歯」の関係性毎日の歯磨き。皆さんはしっかりケアしていますか? 今回はスポーツパフォーマンスと「虫歯」の関係性をお伝えしたいと思います。 【歯は再生しない!】 スポーツ選手が筋肉痛やケガをした時に、...詳細
- 【トレーニングに必須の知識!】最大筋力を高める4つの方法瞬発系の種目を行っている選手には欠かせない最大筋力を高めるトレーニング。 最大筋力の発揮には、フリーウエイトでのトレーニングを組んでいる選手が多いかと思いますが、その中でも皆さんはどのような方法...詳細
- 【海外大学が証明!】目標達成率が劇的に上がる、3つの事前準備とは②「行動可能性」目標達成率をあげるMACの法則【前回の続き】について書いていきたいと思います。 前回のおさらい:【MACの法則とは何か?】 MACの法則とは、アイントホーヘン大学がメタ分析によって証明した、目...詳細