【あなたの競技のエネルギー源は何?】 トレーニングにおけるエネルギー供給系の理解
- Tweet Follow @Sports_Crowd_
投稿者:荒川優元100m選手:スプリントコーチ
【あなたの競技のエネルギー源は何?】 トレーニングにおけるエネルギー供給系の理解
「試合前にグリコーゲンローディングを行うんだ」
「クレアチンをとって爆発力を高めるんだ」
など、スポーツや運動をするうえで糖分やミネラルなどが必須だと誰もが感じているはずです。
一方で、マラソン選手と100mの選手のエネルギー源が違うことはなんとなく想像できるのではないでしょうか。
この辺の知識を整理できれば、例えばサッカーでもポジションによってまったく必要な栄養やトレーニングモデルが異なることが分かると思います。
自分の種目のエネルギー源を知って、何を摂取すればいいか分かったり、より適したトレーニングを選択できるようになりましょう!
サッカー同様、球技や相手がいる変速的競技であっても、そこでのダッシュや運動一つ一つを見ていけば、どのエネルギー源をどれくらい利用しているのかが想像できるので、トレーニングも見直しやすくなりますよ!
【結論】
エネルギーはATP(アデノシン3リン酸)の分解によって生み出され、運動中は体の中でATPを再度作り出すことによって持続して動けている。
そのために必要なものが、0~10秒はCP(クレアチンリン酸)、10~70秒はグリコーゲン、70秒~3時間は最初はグリコーゲン、30分以降は脂肪とタンパク質を使う。
【3つの供給システム】
供給システムは、エネルギー源別にATP-CP系、乳酸系、有酸素系の3つに分類されます。
・ATP-CP系
0~10秒間の運動で使われるエネルギーです。
ATP(アデノシン3リン酸)というエネルギーの素がADP(アデノシン2リン酸)へと分解するときに爆発的なエネルギーに変換されます。
ADPはCP(クレアチンリン酸)と反応して再度ATPに再合成され、反応が続いていきます。
ただ筋肉には、少量のCPしか貯蔵できないので10秒以上の動きでは使うことができません。
ですが、回復が早いのも特徴で、30秒の休憩で約70%のCPが回復します。
なので、休みがあれば何度もダッシュができるというわけです。
主に100mやウエイトリフティング、サッカーや野球のダッシュ、スキーのジャンプ、一般のトレーニングでも重い重量を一気に上げる場合に使われます。
いわゆる、全力で力を発揮する際の肝となるエネルギーです。
・乳酸系
10~70秒間で使われるエネルギーです。
10秒以上連続で動く場合、すでにCPが枯渇しているため、グリコーゲンの分解をCP代わりに使って、ADPからATPを作ります。
ただグリコーゲンの反応では乳酸が同時に生成されます。
(乳酸が疲労の主原因ではないことが近年述べられていますが、現在でも疲労の状態を測る手段として乳酸は計測に使われています。)
グリコーゲンの回復には時間がかかり、2時間で40%、高強度運動だと完全回復まで48時間かかるといわれています(Fox, 1989)。
インターバルなどの練習で、どっと疲れが残るのはこのせいなのです。
400mやスピードスケート、自転車トラック、ハンドボールが当てはまります。
・有酸素系
70~3時間の間で使われるエネルギーです。
最初はグリコーゲンが乳酸系と同様に、ATPの合成に寄与してくれるものの、30分前後でグリコーゲンも枯渇してしまいます。
そこからは脂肪やたんぱく質がATPの合成を行っていきます。
ダイエットや痩せたい場合に、30分以上の運動が必要な理由はここにあります。
ぜひ参考にしてみてくださいね。
***********************************************
筆者:
荒川優(あらかわゆう)
☆大学陸上コーチ(100m:10秒5) 指導申込: http://ランコネ.jp/
➣2010ニュージーランド・オタゴオープン 準優勝
筑波大学出身。スプリントコーチとして大学や子供たちの指導、メディアなどで活動。
オリンピック選手や格闘技世界チャンピオンなど、種目を超えてトップ選手のコーチも担う。
出演:NHK「テレビスポーツ教室」など多数。
***********************************************
投稿者:荒川優元100m選手:スプリントコーチ
- Tweet Follow @Sports_Crowd_
【新着】関連記事
この記事を見た人はこんな記事も見てます。
-
ダンスで競技力アップ!?ムーンウォークにトライしよう!
みなさんは、動きの模倣は得意ですか? スポーツ指導現場...
2016年03月20日
-
【“全身パワー”の向上に】「クリーン」中の動きを詳しく見てみよう!
全身のパワーを向上させる為に、「クリーン」を行っている方...
2017年02月27日
-
今日はバレンタイン!相性診断スクワットで相性をチェック!?
いよいよ、14日(日)はバレンタインですね! 彼氏、彼...
2016年02月12日
-
楽しみながら鍛えよう!【4分間の体幹タバタサーキット】
4分間で8種類の体幹トレーニングを行うタバタサーキットを...
2018年01月08日
-
バランスボール上で対戦トレ
これまでにも幾つかご紹介していますラグビー世界1位の「オ...
2015年10月26日
-
【胸椎と股関節の可動性をUP!】体が動きにくいなと感じる方へ
こんにちは、PRPの佐々木です。 実際にアスリート達に...
2018年01月27日
-
20分補強トレーニング
昨今世界のトレーニングジムで話題となっているトレーニング...
2015年09月28日
-
股関節が動きにくい方にオススメ!【1分間横隔膜ストレッチ!】
-
フィジカルトレーニング
-
【足が上がらない原因にも…】スポーツで重要な横隔膜の知識
-
アメフトのコンディショニング!試合前でも身体を鍛え整える!
-
しっかりと地面を捉えられるようになる【足裏機能改善エクササイズ】
-
逆上がりのコツ~内村選手の手本~
-
明日は筋肉痛間違いなし!腹筋トレーニング
-
トレーニング中の呼吸に注目してみよう!【バルサルバ法】
-
【コックヒップリフト】股間節がスムーズに動くようになるエクササイズ
-
超上級者向けトレーニング【ドラゴンフラッグウォーク】
-
負荷付き腹筋
-
【真似してみよう!】 ラグビー世界最強チームのトレーニング
-
3分で全身をトレーニング!スタビ101
-
【強い力を生み出すために】握力トレーニング10種目
-
30歳を越えても結果を残し続ける為に!タイガー・ウッズの思考
-
トレーニングをさらに効果的にする!ドローイング
Category New/カテゴリー新着情報
- 【たった3分で追い込める!】最強腹筋トレーニングメニュー「全方向から鍛えられる計6種類の腹筋サーキット...詳細【1日3分】室内でできる全身トレーニング(中級編)アスリートが考えた3分『全身トレーニング』 ...詳細【練習メニュー】下り坂でスピードトレーニング(4種)自主練や部活で使えるシリーズ第三弾『下り坂』の...詳細【練習メニュー】上り坂でスピードトレーニング(6種)自主練や部活で使えるシリーズ第二弾『上り坂』の...詳細陸上競技
- 【練習メニュー】下り坂でスピードトレーニング(4種)自主練や部活で使えるシリーズ第三弾『下り坂』の...詳細【練習メニュー】上り坂でスピードトレーニング(6種)自主練や部活で使えるシリーズ第二弾『上り坂』の...詳細【恐怖を超えた究極のスタート】コールマンから学ぶスタートの極意クリスチャン・コールマン(Christian ...詳細【長距離ランナー必見!】ランナーにオススメのトレーニング集オレゴンプロジェクト所属のゲーレン・ラップ選手...詳細ケガ・ストレッチ
- 下向肘上げ 改善エクササイズ【フィジカルチェック用】「フィジカルチェック項目:下向肘上げ」の点数が...詳細下向胸上げ 改善エクササイズ②【ケガ予防フィジカルチェック用】「フィジカルチェック項目:下向胸上げ」の点数が...詳細下向胸上げ 改善エクササイズ①【フィジカルチェック用】「フィジカルチェック項目:下向胸上げ」の点数が...詳細【梅雨の季節の体調管理】アスリートに必要な知識蒸し暑く過ごしづらい季節がやってきました。そう...詳細サッカー
- エムバぺ(フランス代表)はなぜあんなに速いのか!?[陸上コーチによる解説]先日4年に1度のワールドカップが行われ、日本代...詳細【W杯でも活躍!】サッカーイングランド代表が行なった〇〇を使ったトレーニング2018年ワールドカップ盛り上がりましたね! ...詳細【W杯でも大活躍】レアル・マドリードのトレーニング欧州チャンピオンズリーグ3連覇、今回のW杯でも...詳細【世界トップの瞬発力!】メッシ選手のアジリティトレーニング【間も無くW杯開幕!】5度のバロンドール受賞、5回のチャンピオンズリ...詳細栄養・食事
- 【瞬発的エネルギー!】クレアチン摂取タイミングのポイントと注意点クレアチンはアミノ酸の一種で、筋肉内のエネルギ...詳細【骨強化に】身長を伸ばす為に必要な栄養素【Jr世代は特に大切!】色々な競技の上で、身長が高いということが有利に...詳細【金メダリストの朝ご飯にも!?】正月によく食べるお餅の栄養&効能お正月はおせち料理やお雑煮など、お餅を食す機会...詳細【身体の調子を整える】サプリメントアプローチ「ZMA」普段の食事から摂取するのが難しい栄養素がある場...詳細野球